ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

輸血の副作用

貧血になったり大手術のときなどに
一番、ほしいのが輸血です。

でも、

人間と違って犬猫さんの場合は輸血用の血液は売っていないのです。
だから、その都度、ほかの犬猫さんから提供してもらわないといけないという、高いハードルがあります。

大きな病院や二次診療病院は、供血用の犬猫さんというのが控えています。
でも、小さな町の病院では、なかなか、難しいです。
前に大型犬のスタンプーのアンデイくんだったので、何回か輸血用に使いましたが、今はいないので、
うーん、ほんと、難題です。

でも、輸血って万能薬のようですが、
輸血することによって副作用があります。

それは
輸血によって、自分じゃない非自己由来のタンパク質が体にはいるので、それによって免疫系が過剰な反応をおこす(つまり、体が自分じゃないものを排除しようと、がんばってしまう)ことによって、いろんな症状が出る可能性があります

1)急性溶血性輸血反応
  輸血された血液に対して抗体反応などがおきて、せっかく輸血したのに赤血球がこわされてしまう
でも、犬の場合、初回の輸血時には、急性溶血反応はおきにくく、二回目以降におきる可能性があります。猫は初回でおきる可能性があります。
ワクチンでアレルギー反応を起こしたわんちゃんは、要注意です。

症状は、血尿、黄疸、発熱、頻呼吸、不整脈、嘔吐
重度の溶血になると、虚脱、ショック、急性腎不全、全身性炎症反応をおこして死亡することがあります。

2)アナフィラキシーショック
重度の場合は虚脱、ショック、心停止

3)非溶血性発熱輸血反応
 
4)輸血関連性急性肺障害
 
5)遅発性免疫反応
 輸血4-14日後におこる免疫反応です。輸血された血液に抗体反応がおきて、貧血が進行したりします

6)輸血後紫斑
 まれですが、輸血した7-14日後に発症します。

7)急性非免疫反応
 頻呼吸、発咳、肺水腫、腹水など

8)クエン酸中毒
 輸血の中にはいっている血小板凝集抑制の抗凝固剤が体に合わない(重度の肝臓の障害があったりすると)低カルシウム血症になったりします。
ふるえたり、嘔吐、徐脈など

9)低体温
10)細菌感染
など

そうはいっても輸血しないと助からないことも多々あります。
なにごとも副作用というのがあるのは、覚悟しなければいけませんね。
輸血が必要な病気は
・再生性貧血
  輸血して、ここをのりきれば、、、
・非再生性貧血
・血小板減少症
  血小板の寿命は5-7日で、輸血しても2-3日程度なので、効果は持続しません。出血性貧血やDICのときに全血輸血で助かるかもしれませんが、、、
・DIC
・急性膵炎
・低タンパク血症

ミデイくん、9か月、まだまだ、いたずら真っ最中


後ろのテーブルには、かじった跡が、、、