ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

脾臓の役割

免疫系がおかしくなってしまって貧血になってしまう、免疫の病気があります。
そういうときに、脾臓を摘出すると改善する場合もあります。

脾臓ってとっても大丈夫なのーーーてご心配されると思いますが、なくても、生きていける臓器なのです。
でも、まったく無駄な臓器というわけではありません

1)赤血球の処理
 脾臓は老化した赤血球や異常な赤血球を除去します。だから、免疫がおかしくなると、脾臓が、どんどん赤血球をこわしていくので、貧血になります。そうなると、脾臓をとってしまえば、赤血球がこわされなくなるので、貧血が治るのです

正常な赤血球の平均寿命は
 犬 100−115日
 猫  73日
 ヒト  120日
といわれています。

なので、免疫介在性貧血になったり、血液に感染する病原微生物のバベシアなどの病気になると、たくさん赤血球がこわされるので、脾臓がおおきくなります(脾腫)

2)造血
 胎児のときは、肝臓と脾臓で血液をつくります、清吾は骨髄でつくります。でも、骨髄での造血能力が低下すると、胎児のときにがんばっていた脾臓が、造血してくれます(髄外造血)

3)赤血球と血小板の貯蔵
 循環血液量の10%を貯蔵しています。犬猫のほうが、人間よりも相対的に脾臓が大きいです。
血小板の3分の1が脾臓に貯蔵され、必要に応じて血液中に放出されます

4)免疫機能
 2次リンパ器官として働いて、抗原に対する免疫応答(抗体をつくるなど)をしてくれます


脾臓の腫瘍は
 脾臓の腫瘤があるなんて、聞いたら、がっかりしますが、犬の場合、50%が腫瘍で、残りが非腫瘍用性といわれています

悪性腫瘍ですと、血管肉腫(シェパードに多い)
脾臓線維組織球性結節(悪性と良性があり)
結節性過形成(良性)
血腫

猫の悪性の脾臓の腫瘍は、肥満細胞腫(全体の53%)、血管肉腫(21%)、リンパ腫(11%)が多いです。

診断は
脾臓に針をさして調べるのですが、、(血管肉腫だったら、出血するから、こわいですよねえ、、、)


脾臓ととってしまう治療の対象は、
 腫瘍
 免疫介在性の貧血

でも、脾臓をとってはいけないケースがあります
 骨髄低形成(こういうときは、脾臓で血液をつくっているので、とっちゃだめですよね)

脾臓をとった手術のあとに膵炎になったり、出血、血栓などが発生する可能性があります。
脾臓をとったあと、免疫力が下がるので、注意が必要です


 ふたりで寄り添っているようです、、、