ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

運動不耐性と心臓病

今まで散歩の時に走っていたのに、最近、走らなくなった。年だからなかなー、足腰弱ったのかしら。、、
なんて思うことあると思います

運動不耐性とは
  運動に耐えられない状態のことをいいます、あるいは、運動により息切れなど何らかの自覚症状を感じ、運動を中止する状態

 (わたしも、走ると息切れするので、走らないですが、、これも、そうかな???)

運動不耐性とは、心不全の徴候なのです。

心臓がわるくなると、
 最初に心臓の弁膜がしまりにくくなる、小さな雑音が生じます(聴診器)
 
 やがて心臓の血液が逆流するので、心雑音の音量が増えていきます。こうして、心臓の拍出量が低下する、つまり、身体におくる血液量が低下します。
 (心臓は身体全体に血液を送るポンプなので、ポンプがうまく働かなくなったら、送る量が減りますよね)

そして、そこで、出現するのが
運動不耐性という臨床徴候です

次に
心臓の雑音が悪化すると、心臓の左側(左心系)が拡大して、気道を圧迫するので、咳がでてきます。

そして、
左房圧が上昇すると(肺と心臓の循環が悪くなる)肺水腫が発生し

やばいことになっていきます。。

というような一般的な臨床経過をたどります。

つまり
心臓に雑音
  ↓
運動不耐性
  ↓
咳がでる
  ↓
呼吸困難(肺水腫)
  ↓
治療しなければ死亡



心臓に雑音が聞こえたからすぐに治療薬を飲まなくていいのですが、
運動不耐性
 散歩の時間が短くなってすぐに帰りたがる
 散歩中に息切れする 
 散歩中に疲れやすい
でも、これだけでは、わかりにくいですよね
昔から散歩がきらいな犬だったら、わからないですし
走ったら、息切れするのは当然だし

では、室内の行動の変化もみてみてください。
いつもソファーにジャンプして登るのに、登らない
階段の上り下りをしない
以前とちがって、動かない
などなど

つまり、
以前はできていたことのなかで、最近になってできなくなってきた、、、
これが運動不耐性の徴候ですね。

咳がでていなくても
運動不耐性がみえるようになったら
やっぱり、治療を開始したほうがいいですよね。
まして、咳がでてきたら、
それだけ心臓が大きくなって悪化しているのですから、
治療を開始したほうがいいのは、いうまでもありません。

走れるのが犬の幸せ