ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

心臓病の予後

先日、麻布大学の夜のセミナーにいってまいりまして、
テーマは心臓病です

8歳以上の小型犬の90%がかかります。
そのうち、すごーーっく、悪化するのは30%、70%は6-7年くらい生存して寿命をまっとうするとのことです。


心臓弁膜症と診断されても、絶望しないでください。
適切な時期に適切な薬をのめば、寿命はまっとうできます。
全身に血液をおくるために、拍動する心臓の弁膜には、300gの負荷がかかるそうです。それが1日15万回くりかえされるのですから、当然、心臓の弁に負荷がかかて、だんだん、粘液腫用変性といって、硬くなって、しまりが悪くなっていきます。
その、弁膜のしまりがわるくなると、心臓の血液が逆流して、うまく全身に血液を送ることができなくなるのです。

弁膜の動きを支えるのが腱索というもので、チワワの腱索は、髪の毛よりも細い、
だから、心臓弁膜症になって心臓が大きくなると、腱索がきれてしまいます。
そうなると、心不全をおこし、急激に悪化します。

小型犬のなかでも、
 ミニチュアプードル
 チワワ
 ダックスフンド
 キャバリア(10歳以上は90%)
が慢性心臓弁膜症にかかりやすい
オスはメスの1.5倍多い


予後は
 咳などの症状がない犬なら、70%以上が6年後も生存
 心臓に雑音があっても、心不全を発症するまでの期間は778日
 心不全(肺水腫など)をおこしたあとの生存期間は、33か月、重症ならば9か月

心不全が悪化すると、
肺の静脈圧が高まり肺高血圧症になることがあります。
そうすると、疲れやすい、四肢が冷たい、興奮すると失神するなどの症状がでます。
ただ、肺高血圧症の薬はとっても高く、ジェネリックですら、1錠1200円、正規品は2000円するそうで、
なかなか、続けるのが、難しいです。
人間のバイアグラは、心臓に悪そうなイメージがありますが、実は肺高血圧症の薬なのです