ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

酸素吸入

呼吸が苦しくなったら、酸素室
肺水腫や誤嚥性肺炎になったら、酸素室のICU管理がベストなのですが、

自宅での酸素室をつくって、ケアもできる時代になっていますが、、、


上気道疾患(鼻が短い短頭種などの、呼吸ルートが狭くなっている)や閉塞性肺疾患(肺の病気の末期)になっているときに、急に酸素を与えると
呼吸がとまってしまうことがあります。

理由は呼吸の調節は脳(延髄)と大動脈小体/頸動脈小体の末梢受容体でフィードバック調節されているのですが、
慢性閉塞性肺疾患になっていると、慢性的に酸素不足になっているので(低酸素血症)、体がそれにあわせて調節をしているのです。そこに、急に酸素を吸わせてしまうと、そのバランスが崩れて、逆に呼吸抑制になって、呼吸がとまってしまうっていう事態になることがあります。
そして、急激に炭酸ガス蓄積が生じ意識障害になることがあります(CO2ナルコーシス)
慢性の呼吸不全では、腎臓などの代償機能によって血液のPHが正常範囲に保たれているので、なんとか、全身状態が安定しているのですが、急激な酸素投与によって、重篤な急性呼吸性アシドーシスが生じる可能性があります。

いつも思うのですが、
慢性疾患の末期
なんとか助けたいとおもって病院に駆け込んで入院するケースが多いですが、
なかなか、動脈血炭酸ガス分圧を測定する機械がどこの病院にも備わっているわけでもないので(残念ながら、当院にもありません)、
呼吸不全になっていると、とりあえず、呼吸をラクにするために、酸素室という流れになりますが、
それが、上記のように、逆の結果を招くこともありますし(PaCO2が50以下の測定ができない)また、入院すると、ご家族が看取れないこともありますし、、
もう、慢性の病気の末期で,
かなりの高齢で、虫の息状態だったら、入院受け入れするのは、どうなんだろうーーーって悩みます。
人間も、病院ではなくて、自宅のベッドで最後を迎えたいと思う方が多いと思います、まして、どうぶつは、なおさらではないかと、、、