ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

慢性腎不全の発見マーカー

シニアになると、犬猫さんも腎臓が悪くなることが多いです。
これは、血液検査で発見しますが、

Ⅰ 発見マーカー

1)BUN
  腎臓以外の原因 たとえば、脱水、高タンパク食、胃腸出血、食後での測定で上昇します。
 肝臓が悪かったり低タンパク食では、低下します

2)クレアチニン
   クレアチニンは筋肉でつくられるので、筋肉が少ない猫や小型犬は低くでやすいです。5キロ以下の小型犬がクレアチニンが1.0㎎/dl以上を示したときは、腎機能低下があると思われます

3)タンパク尿
腎臓の糸球体が障害をうけると、本来、でてこない、アルブミンという大きなタンパク質が尿の中にでてきます(この検査は外部検査)

尿の試験紙検査でタンパクが陽性になっても、血尿とか、腫瘍、膀胱炎、去勢していないと精子の混入でも、タンパクが陽性という結果がでます。

4)尿の比重が低い
(早朝の尿が検査に望ましいです)

5)やたらと水を飲んで、水のようなオシッコをする


Ⅱ治療は、

慢性腎不全は進行していく病気で、治療で治るわけではありません。
でも、手をこまめいて、なにもしないで様子をみるよりは、進行を遅らせるための方法があります。

1)さて、慢性腎不全の初期だとわかったら、
リンを制限したお食事療法が推奨されています。
なぜかといいますと、リンの排泄が低下すると、血液中のカルシウム濃度があがって、軟部組織(胃腸管、腎臓、血管)の石灰化がおこり、さらに腎臓が悪くなるからです。

2)次は、タンパクを食べすぎないことです、
BUNが高くなってしまったら、
毎日、ササミをやたらとあげるのはやめましょう。
腎機能低下によって、体内に蓄積する尿毒素は、たんぱく代謝物ななので、高タンパク質はBUNを上昇させ、また、消化管内で細菌によって産生されるインドキシル硫酸も尿毒素を増加させます。
つまり、
タンパク質をゼロにするというのではなく、あげすぎないことが大事です。
タンパク尿になったり、クレアチニンが上昇したり、さらに慢性腎不全のステージがあがってきたら、低タンパク食にしてあげるといいですね。
尿にタンパクがたくさんでている場合は、ステージに関係なく、タンパク制限を行う必要があります(尿にタンパクがでて、身体から喪失しているのに?って思われると思いますが)

そして、
3)尿毒症の軽減のためには、消化管由来尿毒素を軽減する炭素系吸着剤をお食事に混ぜます。
いろいろ種類がありまして、

①人間の医薬品のクレメジン
 石油系炭化水素由来のもので、カプセルです。犬猫では論文での有用性を示すものはないですが、口頭発表では、クレアチニンの上昇抑制が認めれているようです。

②動物用のサプリメントの活性炭吸着剤
  低分子尿毒素のインドール、フェニル酪酸を吸着してくれますが、消化酵素も吸着してしまうので、消化不良になる可能性があります。

4)脱水しないようにする
 水をよく飲めるようにする
 それでも、脱水するのはら、皮下補液などの輸液療法をする


ちかごろは、ネットで医薬品までも個人輸入と称して買うことができるようです。
ネットで、医薬品や、療法食などをお求めになっていらっしゃる方は、かかりつけの獣医師から適切なアドバイスをうける機会を失っている可能性があるリスクを考慮されることをおすすめいたします。