ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

猫の特発性膀胱炎の原因

ねこちゃんの膀胱炎の原因は様々です

尿石症
尿路感染(ばい菌がはいった)
尿路腫瘍(といっても、猫の膀胱腫瘍はまれといわれています)

で、

原因不明の
メンタルが原因ではないかといわれている

特発性膀胱炎というものがあります。

猫の膀胱炎といった症状を猫下部尿路疾患といいますが、アメリカのデータでは、その60%が特発性膀胱炎といわれています。

1)症状
ほかの膀胱炎と同じで
頻尿、おしっこするときに痛そうにしている排尿困難、おしっこがでなくなる尿道閉塞、血尿

2)病気の特徴
10歳未満の猫ちゃんで認められ、1歳齢未満でもおこっています。シニア猫ちゃんには少ないです(尿路感染症が原因のことが多い)

結石で尿道が詰まっているわけではないのに、オシッコがでない、その原因は、特発性尿道炎(オス猫)です。



3)予後は
急性に発症した場合、多くは数日で症状が消えます
ですが、再発を繰り返したり、慢性化することがあります。

4)原因は
原因は不明だから、特発性膀胱炎と呼ぶのですが、

本では、
尿路上皮の異常
膀胱壁の透過性亢進
グリコサミノグリカンGAG)排泄量の減少(膀胱粘膜の保護をするもの)
下垂体・副腎機能異常
交感神経の活性化
α2アドレナリン受容体の低下
などなど
といわれています。

この原因の追究は、大学病院でないと無理ですよね
膀胱を徹底的に調べないといけませんから。

尿は高い浸透圧をもって、様々な有害物質を含むので、膀胱上皮は、そのような毒性物質を透過させないないような防壁機能があります(つまり、有害物質を対外に捨てたいのだから、それが体の中にはいらないように、コンクリートの壁みたいに防御しているってことです)

でも、特発性膀胱炎の猫は、この機能が、ほかの猫よりもイマイチ、機能が悪い、膀胱粘膜を保護するGAG層が少ない、あるいは欠損している、

こういうことで、

尿の毒性物質が膀胱の粘膜の炎症をおこし、感覚神経線維の刺激によって、頻尿や疼痛がおきてしまう。


つまり、、
膀胱のバリア機能が、ほかの猫よりも、生まれつき弱いので、
尿の有毒物質によって、膀胱炎がおきてしまうってことですね!!

そして、
神経性炎症もあるといわれています。

ということで、
特発性膀胱炎の原因は、複雑で、様々が病因の相互作用により発症すると考えらえています。

そして、発症リスクを高めるものは
・室内飼育
・肥満
・同居の猫よりも怖がりで神経質
・水を飲む量が少ない
・運動不足
・狩猟行動ができない
・引っ越しする


5)診断
 結石など、膀胱炎の原因になるものがないという、除外診断
 尿検査、レントゲン、エコー

6)治療
環境改善
トイレの改善
オメガ3脂肪酸と抗酸化成分、トリプトファンを含む療法食(c/d)
水を飲ませる(器をかえる、水素水がおすすめ)
ウエットフードにする(水分を含むから)
フェロモン療法(フェリウエイをつかって、ストレスを減らす)
薬物療法抗うつ剤のアミノトリプチン、クロミプラミン)(賛否両論)(薬飲ませるのもたいへんですよね、、、)


室内猫のストレスを減らし、運動不足解消のため、
猫ちゃんと遊びましょうーー