ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

猫のパルボウイルス(猫汎白血球減少症)

毎年、猫ちゃんに3種混合のワクチン接種をしていますが、
その中の一つに
猫のパルボウイルス(猫汎白血球減少症)という病気があります。

この病気は

1)症状
 感染すると
 40-41度の高熱
 嘔吐
 水のような下痢、粘液がついたり、下痢
 血便
 食欲不振
 脱水
 衰弱していきます
 血液検査をすると、白血球が減少(とくに好中球)

 だいたい、2-5か月齢の子猫や若い猫に多い
 それよりもオトナの猫だと、無症状や軽症ですむことも多い。
 妊娠中の猫がこの病気に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産や流産
分娩前後の感染では、生まれた子猫に小脳形成不全による運動失調、震え、失明といった神経症状、あるいは突然死

2)どこからうつるの

 口や鼻からうつります
 急性期の感染している猫ちゃんとの接触、排泄物の摂取

 回復後キャリアーになった猫ちゃんとの接触、排泄物の摂取

 感染した猫ちゃんのつかった、食器や飲み水、エサの共有

3)治ったら、、
 ひどい下痢と脱水をおこして衰弱死するのですが、
 この状態から回復した猫ちゃんは、ウイルスに対する免疫を獲得するので、 二度と感染することはないのです。

4)治療
 直接ウイルスを治す薬はありません。
 脱水しないように輸液、抗生物質による二次感染の予防
 インターフェロンの投与
 簡易検査キットはないので、外部の検査専門機関に検査依頼して、確定診断(糞便等からのウイルス抗原、遺伝子の検出)

5)感染予防
 感染した猫と隔離
 糞便、尿、唾液、嘔吐物にウイルスを排泄するので、これらにさわらない
 塩素系消毒薬で消毒する。アルコールや逆性石鹸は効果なし
 ウイルスは、乾燥をはじめとする環境に対する抵抗力が高く、3年くらい感染性を保持するといわれています。
 一度このウイルスが発生すると、蔓延してしまうので、除去が難しいです

6)なんといっても、ワクチン接種が大事です