ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

胆嚢粘液嚢腫の治療

胆嚢にはいっている胆汁が、がちがちに固まって、胆汁がでなくなる病気です

1)原因

・胆嚢の粘液分泌腺の過形成
  胆嚢に粘液をたくさんでてしまう体質のため、粘液で胆管がつまってしまう(大半がこれ)

高脂血症

・胆汁うったい



2)症状
 黄疸
 嘔吐
 白い便がでる(たまに)
 おなかをいたがる、おなかが膨らむ(腹膜炎)


 症状があいまいで、わかりにくいのがこの病気の困ったところです。
 エマージェンシーな腹膜炎にならないと、気づかない可能性があります。
 エコー検査で胆嚢粘液嚢腫をみつけたら、すぐに手術をするという予防的処置は賛否両論だし、症状がなければ、手術に踏み切る方も少ないです。

ということで、ギリギリな状態になって、手術を決断するっというパターンが多いのがこの病気の難しいところです。

3)内科的治療
 軽度なら、胆汁を水っぽくする利胆剤の内服
 エリスロマイシンの投与
 メチオニン、ファモチジン

4)外科的治療
 胆嚢摘出

手術の死亡率は高く22-32%(英国のロンドン大学のブルックマン教授のデータ)

胆汁がでなくなると、脂肪の消化ができなくなり、 脂溶性ビタミンが不足します
そのなかで、凝固因子のビタミンKが不足するので
凝固障害が起こる可能性があります
凝固障害がある状態で、手術をしますと、当然、きったりはったりですから、出血することが想定され、
出血がとまらなければ、死に直結しますよね、、

白血球が高いと生存率が低くなるとのことです。
胆管は十二指腸に通じているので、そこは、腸内細菌がうようよいますよね。主に大腸菌が胆管に登ってきて
細菌性の胆管炎をおこします。

胆嚢が破裂して、胆汁がおなかの中にもれている
胆汁性腹膜炎をおこしていると、
かなり、死亡率が高くなります(手術しか治療法はありませんが、手術リスクが高いです。内科的治療では救命できません)


腹部への鈍的外傷をうけると、
外傷事故の直後ではなく、数週間後に胆嚢が破裂したり、胆管が損傷して、胆汁がおなかにもれている、
そこで、腹痛や腹膜炎の症状がでたりするので、発見が遅れやすいです。
交通事故にあったら、
直後は大丈夫でもあとで、命とりなことがおきるという
可能性もあります。CT検査をして、チェックするのが理想的ですけれど、、、