ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

進行性脊髄軟化症

椎間板ヘルニアのようにみえるけれど、

治療法のない悲しい脊髄の病気があります

1)定義は
 脊髄の局所(全部ではなくて一部の部分で)の虚血状態(血が通わなくなってしまう)が原因でおこって、上行性(つまり、首のほうにむかって)下行性(腰のほうにむかって)に脊髄軟化が連続しておきしてしまう病気です

2)症状は
 椎間板ヘルニアのように、突然歩けなくなったり、痛みを訴え、その症状が急速にどんどん進行していきます。
最初は後ろ足だけだったのが、前足も麻痺していきます。
まず、後ろ足が麻痺して、5日以内に始まり、3日から7日以内に急速に進行します。
さまざまな神経反射が消失していきます、

自力で立つこともできません、横たわります。
激しい痛みを訴えます(腰背部痛)
元気もなくなり沈鬱になります
体温が上昇します
血液検査でCRPが上昇します
目の瞬膜が突出して、ホーナー症候群のようになります
肛門反射がなくなり、肛門が開いた状態になります

3)予後
残念ながら治療方法がありません
呼吸をする筋肉(肋間筋)の麻痺、横隔神経麻痺から呼吸困難になり死亡します。
ほとんどが数日から1週間で急速に進行して死亡します。



4)なりやすいケースは
椎間板ヘルニアのグレード5のうち、5-11%の症例で発症がみられるといわれています。
つまり、深部痛覚が失われ、歩くこともできなくなった重度の椎間板ヘルニアがおきて、そののちの1割が脊髄軟化症を発症してしまい、それは12時間以内で急速に進行してしまって、死亡することがあるということです。

とても痛ましい話ですよね。
かわいがっていたワンコさんが、突然、腰を痛がり、それが、どんどん悪化していって、数日から1週間で亡くなってしまうというこわい病気です。
予防方法はないですが、
椎間板ヘルニアにならないように、腰の弱い子は日頃、体重管理や段差など、腰に無理な負担をかけないように、気を付けてあげるしかないようです。


馬も腰を痛めやすいっていいます。
気の毒です(一頭だてにしては、荷が重そう、、)
黒馬物語という映画がありますが、
馬がどんどん転落していく(人の人生のように、、)
あわれな映画です。ですが、そこはハリウッド映画、最後は幸せになってくれますけれど、、