ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

イベルメクチン中毒

フィラリア予防薬にも使われているイベルメクチンという薬がありますが、この薬が中毒をおこすことが知られています。

フィラリアだけではなく、イヌニキビダニ症の治療(0.3-0.6㎎/㎏1日1回内服など)や疥癬に治療に使われるのですが、
神経毒性の副作用もあります。

神経毒性がでやすい犬種は

 ・コリー
 ・シェットランドシープドック
 ・オーストラリアンシェパード

原因は、これらの犬種は他の犬種よりもMDRI遺伝子の変異が多いためといわれています。ということで、この犬種すべてが、イベルメクチンの副作用がでるというわけではないのです。

このMDRI遺伝子の変異ってなに、ってことですが、
本によると「この遺伝子をもとに翻訳されるP−糖タンパクの構造異常が生じ、脳脊髄関門の薬剤排出ポンプ機能が損なわれると考えられている」そうです。
(このままよむと、すべての薬剤の副作用がでそうな、、、)


ニキビダニの治療のときは、
コリーなどの犬種に限らず、イベルメクチンの副作用がでる危険があるので、
イベルメクチンを投与するときは、一番少ない量の0.1㎎/㎏を1日1回内服を開始して、3日ごとに0.1㎎/㎏増加させることが推奨されています。
というのは、イベルメクチンは、体内で代謝されず胆汁を介してか、腸管粘膜から直接消化管へ排出されます。
このため、肝臓の機能や胆管排泄に障害が起きていると体内に蓄積する可能性があります。
シニアになって、免疫力がおちて、全身ニキビダニ症になると
肝臓などの機能も弱っているところに、
この薬をのむと、消化管などの副作用がでやすい可能性もありますよね、、

この薬をのまないニキビダニの治療は、アミトラズというダニを殺す薬剤のシャンプーになります。(週1回)