ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

猫のパルボウイルス

毎年、猫ちゃんの3種混合ワクチン接種のなかに含まれているのが、猫のパルボウイルス(猫汎白血球減少症)という病気があります。

かかると、症状は
 下痢、嘔吐 骨髄抑制による白血球減少
 致死率は高く、子猫であれば、まず、助からないです。
 子猫の時にかかると、生き残っても小脳に感染して、運動疾患の後遺症が残ります。


このウイルスは、オトナの猫ちゃんもかかるこわい病気です。

徳島県でワクチンをうっていない猫ちゃんの抗体を調べた調査によると、
猫カリシウイルスへの抗体検出率は高いのですが
1歳 54.9%
4-5歳 71.4%
6歳以上 56%

パルボウイルスに抗体は
1歳未満 18.3%
2歳    32.6%
4-5歳   57.1%
6歳以上 56%

ということです。
抗原にふれないと、抗体はできませんので、
つまり、パルボウイルスは実際にあるウイルスということですね。
それに対しての免疫力がある猫はオトナでも半数くらいしかいないってことです。


では、子猫の時にワクチンうっているから大丈夫と思われるかもしれませんが、

ドイツのデータによると、
子猫が3回混合ワクチンを接種しても、抗体が上昇しなかった例が
1回目で87%
2回目で53%
3回目で30%以上

という結果が報告されています。

子猫の時に3回うっても、1/3の猫ちゃんが抗体が上昇しなくて、感染の危険があるということですね。

で、東京でのデータを調べたものがあります。
1年以内にワクチンをうった猫ちゃんでも、9.2%が抗体陰性という結果がでて、発症を防御できる抗体をもっていないということです。
そして、ワクチンをうっていても、ワクチン抗体は1年間で1/4に低下するといわれています。

ということで、

ワクチンを毎年の接種をおすすめしているのはこういう理由からです。


お隣の猫ちゃんがワクチンうっていないから、うちもいいやっではなくて、
お隣が予防しないから、おうちの猫ちゃんはしっかり、予防しないと感染の危険性があるということですね、

エボラ出血熱みたいに、感染症は広がっていく怖い病気です。
空気感染はしませんが、パルボウイルスにかかると、
真っ赤なトマトジュースのような下痢便と嘔吐にまみれて、死んでいくこわい病気です。そんな姿はみたくないですよね