ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

猫ちゃんの慢性腎不全の新しいお薬がでました

猫ちゃんは、体に対して腎臓が小さいので、犬よりもシニアになると、慢性腎不全になってしまうことが多いです。
そして、高血圧にもなりやすいのです、

そこで、


7月に猫ちゃんのためのシロップのお薬が発売されます。
(人間でも用いられている成分です)


腎臓は、悪くなる一方で、残念ながら、こわれたネフロンは再生しないので、病気がどんどん進んでしまうのが、慢性腎不全です。

シニア猫の最大35%、猫ちゃん全体では最大10%がこの病気にかかってしまいます。
猫ちゃんの慢性腎不全の70%に尿細管間質性腎炎と呼ばれる炎症プロセスがあるといわれています。


ネフロンがどんどん壊れてしまうので、ネフロン数減少に伴って腎臓の生理的代償反応のひとつの、レニン・アンジトテンシン・アルドステロン系が活性化してしまいます。こうなると、血液中のリンが高くなったり、糸球体高血圧、高窒素血症になって、タンパク尿もなり、これが、またネフロンを壊すという悪循環におちいります。



ということで、

この薬の効能は
・腎臓の中の輸出細動脈を拡張させて、糸球体高血圧を抑制します。

・糸球体高血圧を抑制することによって、尿のタンパク漏出を抑制します。

・ネフロンがどんどん壊れていく悪循環のサイクルを抑制することによって腎臓の組織を保護します。


ということです。


従来はACE阻害薬というもので、レニン・アンジオテンシン系の活性化全体を阻害するという治療だったのですが、
これだと、

身体に必要な作用(血管拡張、ナトリウム利尿、繊維化抑制)までもブロックしてしまうデメリットがありました。
ヒトでは、ACE阻害薬で、逆に咳中枢を刺激して、空咳がでやすくなるという副作用も指摘されています。

この新しいお薬ですと、
腎臓にとって有害な作用(血管収縮、ナトリウム・水の再吸収、繊維化、糸球体高血圧、持続的タンパク尿)のAT1受容体だけをブロックしてくれるという
メリットがあります。

しかも、

錠剤がのみにくい猫ちゃんのために
1日1回のシロップのお薬になっています。


この薬は

慢性腎不全の猫ちゃん
高血圧の猫ちゃん

におすすめです。

しかも、
99%以上が肝臓代謝・胆汁排泄になるので、薬を飲むことによって腎臓に負担をかける心配が少ないです。


慢性腎不全になったら、
病気と戦って、猫ちゃんと少しでも長く暮らせるための努力が必要です。

猫ちゃんにお薬を飲ませるのはたいへんですが、
ぜひ、がんばって投薬してほしいものです。

当院での慢性腎不全の治療は

① 自宅での皮下点滴の指導
② リン吸着剤
③ 消化管内の毒素を減らす薬
④ 漢方薬
⑤ オゾン療法(免疫力を高めて自己治癒力をひきだす)
⑥ この、AT1受容体阻害薬(セミントラ)をおすすめ します



とと太もオゾン療法うけています。今、14歳なので、あと10年、めざせ、化け猫24歳!!