ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

腎結石

腎臓に石がある、、
レントゲンをとると、偶然みつけることが多いです。

腎臓に結石があるとどういうことがおきるのかといいますと、

 進行性の腎機能障害
 難治性の腎盂腎炎
 慢性血尿 
 進行性の水腎症


では、どうしたらよいのか、、

大学の泌尿器科の教授のセミナーで「さわらぬ、膀胱と腎にたたりなし」っていっていましたね、

結石がある、それ、腎臓を切開でとろうというわけにはいかないのです、

なぜなら、
腎臓を切開して結石をとりだした場合、
腎臓にかなりのダメージを与えるからです。
重大な合併症と糸球体濾過量の著しい低下(10-20%)をおこす可能性があるからです。正常な腎臓の20%の低下でしたら、余力があるので、問題ないですが、
もともと悪くなっている腎臓機能に、さらに20%も低下すると、その腎臓は使い物にならなくなる可能性があります。
しかも、
結石がないほうの腎臓が正常であれば、腎臓の機能はなんとか維持できますが、片方も悪くなっていれば、
慢性腎不全の末期になってしまう最悪の結果も考えられます。
ということで、「腎切開術は可能なかぎり回避すべき」といわれています。

では、人間みたいに、体外衝撃波結石破砕術をすればいいのですが、アメリカでは動物にも行っているようですが、
この処置は10㎜未満の腎結石と5㎜m未満の尿管結石に実施できますが、破砕片が1㎜より小さくなることはないので、尿管径が0.3㎜の猫には有効でないそうです。結石が完全に排出されるのに3か月かかるそうです。

この治療法が、最近、導入されているようです。
東京の王子ペットクリニックというところです。
高齢で麻酔をかけて開腹手術したくない、場合
内視鏡で石の破砕や腹腔鏡手術を実施しているそうです

外科的な治療法が無理なら内科的には、、、

腎結石は、
犬は50%、猫は98%がシュウ酸カルシウム結石といわれていますので、
内科的には溶解できないのです、、



アメリカでは腎移植というのも行われていたりしていますが、それは、、
ノラネコさんから腎臓をひとつとって、それを飼い猫さんに移植して、
そのかわり、そのノラさんを飼い主さんが飼うという
ことだそうです。ただ、腎移植を受ける側は、貧血や代謝障害をもっているので、手術が成功しない場合もあります。
アメリカでは血液透析という治療も選択肢にあるようですが、
日本では、中毒などの急性腎不全には行っている病院もありますが、メジャーな治療法ではありませんが、最近、横浜の日本どうぶつ先進医療研究所株式会社
JASMINE どうぶつ循環器病センター で血液透析をしているようです。
HPはこちら
http://jasmine-vet.co.jp/catheter/pg77.html

アメリカのドラマの「クローザー」という刑事ものドラマがありますが、物語の中で、ヒロインの猫が腎不全になって、ヒロインが猫を職場につれていって、毎日、皮下補液の注射をします、が、治療はうまくいかず、猫が弱ってきたので、そこで、即座に「安楽死」をするという結論になっていました、うーん、アメリカは安楽死が多いといいますが、そういうものかと考えさせられました。