ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

ファンコーニ症候群

ファンコーニ症候群とは、腎臓の近位尿細管の機能不全を特徴とする病気のことです。つまり、腎臓は老廃物をオシッコとして排泄するところですが、全部、捨ててしまう前にもう一度、捨てていいものと、残しておくものを取捨選択するのが、尿細管というところで、
そこで、本来なら再吸収して、必要なものは体に残しておくという機能が、ダメになってしまう病気です。


具体的にはどんなものが不足してしまうかというと、

糖、アミノ酸、低分子タンパク、炭酸水素、リン、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、尿酸、その他の有機酸です。

これらが、腎臓の尿細管で再吸収されないで、過度に尿にでて、そのまま排泄されてしまうので、体の中に必要なミネラルやタンパクが不足してしまうという病気です。

そのため、
尿に糖がでる
尿にタンパクがでる
血液検査をすると、低リン血症、低カリウム血症
炭酸水素が失われるので、体が酸性になってしまう(アシドーシス)

1)原因は

遺伝(先天的)
 ・バセンジー
 ・ノルウエジアン・エレクハンド
 ・シェルテイー
 ・シュナウザー

薬物や中毒(後天的)
 ・重金属の摂取
 ・栄養欠乏
 ・自己免疫疾患
 ・ゲンタマイシン(抗生剤)
 ・シスプラチン(抗がん剤
 ・エチレングリコール中毒
 ・レプトスピラ
 ・上皮小体機能低下症
 ・猫では甲状腺機能亢進症

2)診断
 血液検査で、電解質のチェック
 酸ー塩基平衡異常(この検査器具は、なかなか、一般病院にはありません)
 高血糖を伴わない尿糖
 低分子タンパク尿
 尿への電解質喪失

3)治療
 後天的な原因であれば、その原因に応じた治療

 先天的なものには、対処療法
  尿糖、アミノ酸尿には治療なし

  低リン血症があれば、リンが2㎎/dlをきると、筋力の低下、溶血性貧血、クル病がおきるとされているので、
活性型ビタミンD製剤(カルシトリオール)や、中性リン酸塩の補充(2.5以上を維持、多すぎないよう注意)

 アシドーシスに対しては、足りない炭素水素ナトリウムの投与(重曹
 
 カリウムの投与

4)予後
 時間がたつとともに、ネフロンの進行性破壊(腎臓は再生しません)と腎臓が萎縮していくので、末期腎不全に進行することが多いといわれています。


日差しが長くなると、季節発情の猫たちの恋のシーズンですが、
これは、フリだけです。あしからず