ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

犬の膿皮症

犬の皮膚炎の大半は、細菌感染によるもの(膿皮症)といわれています。
今日は、イヌの膿皮症について、東京農工大学の皮膚科の西藤准教授のセミナーがありました、
わざわさ、都内のセミナー会場に行かないで、PCのWEBでセミナーをきくことができたので、とってもありがたいことです。都心のセミナーにいくのは、町田は遠いので、なかなか、時間がかかってたいへんです。便利な時代になりました。

セミナーでの内容は


猫や、ほかの動物、人は(子供のとびひなど)、
膿皮症は、犬ほど多くない、猫はまれ、
ひとのとびひは伝染するけれど、イヌの膿皮症はうつらない


ということで、イヌには膿皮症が非常に多いのです。
しかも、昔は抗生剤を2週間くらい飲んでもらえば、すんなり治る病気だったのですが、最近の膿皮症は、抗生剤がきかない耐性菌が増えて、治療が困難になり、長引く傾向になっているということでした。

1)では、
抗菌剤がきかないなら、どうすればよいのか、

2%クロルヘキシジンとという消毒薬で1日おきに患部をふいたり、シャンプーをするのが効果的である。
消毒薬に耐性のあるブドウ球菌はまだ、ないから、有効だということでした、

2)なぜ、耐性菌ができてしまうのか、、、

犬の膿皮症の原因菌が昔のものと種類が変化している、
そして、Bラクタム耐性菌が増えているということです。

犬の膿皮症には、Bラクタム系の抗菌剤を飲んでもらうのですが、
この薬を飲んだり飲まなかったりと、きちんと投薬しないと
(これは、飼い主さんだけのせいではなく、飲んだふりしたりするワンコもいるので、しかたがないのですが)

ラクタムで死んでしまう細菌(感受性菌)と
ラクタムに耐性があって、生き残ってしまう細菌がいるので、
前者の感受性菌が死滅して、後者の耐性菌だけが残ると、
これが、増殖してしまうからです。
で、抗生剤というのは、飲むと抗菌作用がぐーっとあがって、やがて、下がってくるのですが、きちんと飲んで血中濃度を維持できれば、突然変異抑制濃度を保てるのに、
飲んだり飲まなかったりすると、抗菌作用が、一定のレベルを保てなくなり、耐性菌がそこにつけいって、増えてしまうという悪循環を生みます。
そこで、だらだらと抗生剤をのんで、きかない、
治らない、
っていうことになってしまうのです。(ゲリラみたいに、地下にもぐって、はびこるってことですね)

3)犬に膿皮症が多い理由
毛が密になっているので、通気性が悪く細菌が繁殖しやすい
鼻のところにブドウ球菌が多く、ベロベロ皮膚をなめることによって、皮膚の感染がおこる
爪で激しくかきむしるので、外傷になって細菌が増殖する
高温多湿の日本は、細菌が繁殖しやすい
内分泌の病気や、消化吸収不良の病気や腫瘍があったりするのも、皮膚炎の原因になる
ジャーマン・シェパードの遺伝的な深在性の膿皮症(治らないそうです)

表在性拡大性膿皮症