ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

横隔膜ヘルニア

横隔膜とは、
心臓と肺がはいっている胸(胸腔)と胃や肝臓があるお腹(腹腔)をしきっている、膜です。

これが、破れて、
胃や肝臓が、肺や心臓のある胸のほうに、はいりこんでしまう病気です。

正常 ビフォー

横隔膜ヘルニア アフター

1)原因は
生まれつき(この場合は、通常、生まれてすぐに死亡)

交通事故などの外傷が大半です。


2)機序
 交通事故などの衝撃で、腹痛内圧が上昇し、肺が急激に虚脱して、胸膜腔と腹膜腔の圧の格差が上昇し、
横隔膜が破れてしまうということです。

猫ちゃんは、呼吸器疾患でも(外傷ではなくて)、圧勾配は生じて、おきることもあります。(横隔膜が完全に破れるのではなくて、一部が裂開してしまい、慢性の横隔膜ヘルニアになる)

3)症状
交通事故による強い衝撃で起きた場合は、呼吸困難になり、死亡する可能性が高いです。ショック状態になり、チアノーゼ、頻呼吸、頻脈、尿がでなくなったり、します。
肝臓が胸の中にはいりこんだりしますと、静脈が閉塞され、胸水が貯留したりします。

慢性的な横隔膜ヘルニアの場合、
呼吸困難
運動すると苦しくなってできない
食欲不振
嘔吐
下痢
体重が減っていく
食後の痛み
沈うつ

4)診断 レントゲン検査

5)治療
 外科手術(横隔膜の穴をふさいで、臓器を元の位置にもどす)
慢性ヘルニアの場合、癒着していたりして、気胸の合併症をおこしやすいです。
横隔膜ヘルニア修復手術に関連した死亡の58%が術後24時間以内で、外傷性横隔膜ヘルニアの致死率は12-48%