ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

猫の甲状腺機能低下症??

昨日は、アメリカのアニマルメデイカルセンター長のゴールスタイン先生のセミナーにいってまいりました(もちろん、日本で)。この病院は100年前からある、たいへん有名な病院で専門医の25%はここのレジデント出身だそうです。

内容は、多飲多尿で低カリウム血症の猫の病気についてです。

アメリカの動物病院では、
1−5歳までの猫ちゃんは
ワクチン接種とは別に、毎年年1回の血液検査の定期検診
5歳以上からは、年に2回の血液検査と尿検査の定期検診をうけるそうです。その場合、必ず甲状腺ホルモンも検査したほうがよいということでした。

そこで、
一般的な血液検査と尿検査で、

尿の比重をみたり、
血液中のカリウムを検査して、

猫ちゃんが1日で体重あたり100CCの水を飲む、
つまり、3キロの猫ちゃんが1日300CCの水を飲むということになると、

多尿多飲という症状になります。

そして、血液検査で低カリウムであると、

疑われる病気は
① 腎機能不全
 血液検査のBUNが上昇する前に気づくことができるので、進行を遅らせるための療法食が有効だそうです。

甲状腺機能亢進症
 シニアの猫に多い
③尿崩症
 おしっこの量を調節するホルモンが狂っている
④肝機能不全
⑤高アルドステロン症(副腎の病気)
⑥副腎皮質機能亢進症(クッシング)

で、
シニアになったら、甲状腺機能亢進症になる猫ちゃんが多いのですが、

この一般的な症状は
 よく食べるのに、体重が減っていく
 被毛のツヤがなくて、カサカサしている
 よく吐く
 怒りっぽかったり、神経質だったりする
 活発
 下痢
 呼吸困難、ハアハアしている

でも、その真逆な症状で
 脱力している(低カリウム血症のため)
 食欲がない
 元気がない
 
といった症状で、むしろ、甲状腺機能低下症を思わせるような状態でも、非定型の甲状腺機能亢進症で、10-15%をしめるそうです。


猫ちゃんの甲状腺機能低下症はまれですが、
 別の病気があったりすると、
 甲状腺に異常がない低甲状腺ホルモン症になります。

重度の全身性疾患
 糖尿病など
感染症
免疫介在性疾患
腫瘍(消化管リンパ腫など)



昨日はあまりにも寒いので、ストーブつけました。
シニアの猫は腎臓が悪くなりますので、
腎臓は寒がり、といって(だから、腎臓は被膜におおわれている)寒さは腎臓によくありません。
ちょっと、過保護ですが、長生きしてほしいから、保温は大事です。