ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

気胸

気胸とは、胸腔の中に空気が貯留している状態です。

原因は
・ 自然気胸
 胸の深い大型犬(ゴールデン、ラブ、スタンプーなど)に多い

・外傷性気胸
 交通事故や咬傷でおきたりします。胸部外傷の犬猫の40%以上にみられます。

・慢性の肺炎
・食道に穴が開く食道裂孔
・腫瘍

症状は
 
 呼吸速迫(ハアハア、おなかで呼吸をする)
 開口呼吸(猫で口を開けたら、かなり、状態悪化)
 ぐったりしている
 咳をする(必ず咳するわけではありません)
 元気消失、食欲不振
 チアノーゼ



もっとも命の危険があるものは
緊張性気胸といって、

胸腔の中に空気があるため、胸腔内圧が上昇して、肺がつぶれたように(虚脱)なったり、横隔膜が変位してしまいます。こうなると、胸の中にいっぱい空気があるため、その圧力で肺がつぶれて、肺が空気を取り込めず、体は酸素不足になるということです。

緊張性気胸になると
横隔膜を動かして肺に空気をとりこむという、通常の呼吸ができなくなるので、

腹式呼吸になって、

酸素不足

静脈が心臓にもどってこなくなり、
心臓の拍出量は低下し、

血圧は低下し

呼吸不全
ショックなど重篤な状態になります。

治療は
 胸腔内にたまっている空気を抜く
 酸素室にはいってもらう(軽い気胸でしたら、これで改善します)
 抗菌剤や気管支拡張薬の投与
 血液を胸腔内に注入して、肺などで血餅をつくり損傷部位を覆う(自家血噴霧)
 胸腔ドレーンを設置して定期的にエアーを吸引する

肺の腫瘍、癌性胸膜炎などがあって、肺が挫滅し、肺胞から空気がもれている、、というような状態ですと、
再発を繰り返します。予後は悪いです。



(自宅での酸素室療法)