ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

心臓が悪いと膵炎になる

昨日は、循環器特別セミナーという、イヌに多い僧房弁閉鎖不全症の治療についての講義を聞いてまいりました。
講師は、東京農工大学の福島准教授です。

犬の心臓病のほとんどは、僧房弁閉鎖不全症ですが、この病気の進行を抑えるための、たいへん効果的な薬があります。
ピモベンダンという薬ですが、
この薬の使い方についての説明でした。
当初、この薬がでたときは、大学の循環器の先生のセミナーでは、薬の用量をさげて、慎重に使いなさいという話でしたが、
薬が普及して、いろいろな知見が得られたようで、

今度は、
薬用量をあげても、天井効果なので、
薬用量を能書の2倍まで増加したほうが、副作用もなく、心不全の改善に有意であるというハナシになりました。

むかしながらの薬のジキタリス(健康な人が大量に飲むと死にます)は、心臓を動かすカルシウムイオンを増やすので、
中毒になりやすいのです。
カルシウムイオンが心臓の細胞の中で増えすぎますと、細胞が死んでしまうのです。そして、心臓の筋肉が動かなくなるので、不整脈をおこし、大量になると、死亡する、こわい薬です。
ところが、ピモベンダンは、心筋細胞の中のカルシウムイオンを増やすのではなくて、カルシウムイオンの感受性をあげて、心臓の筋肉を動かすので、細胞内のカルシウム毒性を抑えることができ、ジキタリスよりは安全な薬なのです。

(余談ですが、、だから、塩化カリウムやカルシウムを大量に静脈注射すると、心臓が止まってしまうのです)

日々、獣医療も進化しているので、知識のアップ‐ツー‐デートが大切ですね、、

そこで、福島先生の話の中で、心臓が悪いと膵臓への血液が減るから膵炎を起こしやすいということでした、
(心臓が悪くなると、貧血になる、腎臓も悪くなります)

だから、強心作用の薬で心臓を動かして、全身に血液を送らないといけないということです。
どこかが悪くなると、体のあちこっちに連鎖反応、
悪いことが続く、、



そして、
犬にフライドチキンを食べさせると膵炎になる(脂肪、油が多すぎるため)


脾臓の摘出手術をすると(、動脈をひっぱるから?)
膵臓への血流が悪くなり、膵炎になる

というお話もありました。

脾臓は免疫にかかわる臓器で、なくても、生きていけるのですが、やはり、無駄な臓器はないようで、
体のバランスを崩してしまうのですね、、


生きていくってたいへんなことなんだ、、BYアンデイ


カラダの恒常性を保つことが、健康の秘訣ですが、
恒常性は、何重もの調整メカニズムによって保たれているので、どこかがほころぶと、ほかにも影響がでるってことですね、、
最近よくみるのが、加齢は病気ではない、
そう、
加齢で体のあちっこっちにガタがくるのは
しかたがないこと、
病気でないっていうけれど、
やっぱり、治さないと、
不都合がでますよね、、
あちらたてば、こちらたたずというのが薬の副作用、治療の限界、
体の中の健康をいろんな生体機能で、微妙なバランスで保っているところに、薬で、強化したり、阻害したり、増やしたり、ってことで、それが、どこかにまた、影響を与える、ドミノ倒しみたいなもので、、、
ややこしい、、