犬に喘息がない?
猫喘息というのはありますが、
なぜか、犬には犬喘息という病名がないのです。
では、犬には花粉症みたいな、呼吸器のアレルギーがないのかというと、そういうことではなくて、
アレルギー性気管支炎とか、アレルギー性肺炎という診断名を使います。
喘息という診断名を犬に用いる場合は、
学問上、犬にアレルギー反応の存在を確認する、
一回換気量の低下など呼吸器機能の異常がヒトの喘息と類似していることを示す必要があります。
ですが、犬はネコと違って、いつもハアハアしていますし、人間の指示に従って深呼吸などはしてくれません。となると、全身麻酔で調べないといけませんが、呼吸器疾患のあるワンコさんに全身麻酔をかけるのは、呼吸停止という大きな危険を伴いますので、確認することが難しいからです。
ということで、犬喘息という診断名がないのです。
犬猫さんのアレルギーによる呼吸器症状は
・くしゃみ
・鼻水
とくに、ダックスやコーギーなどの長頭種のアレルギー性鼻炎はほおっておくと、慢性化することが多くやっかいです。いったん慢性化したアレルギー性鼻炎は根治が難しくなるといわれています。
慢性化した鼻炎はやがて、鼻汁が白いのから黄色い細菌感染による膿汁になり、臭いを発します。
犬がくしゃみするたびに、膿の鼻汁が部屋中にとぶようになってしまいます。
・咳
軽症のときはカラ咳で、気温の変化が急激なとき、たとえば、明け方や夕方など少し冷えこんだときに現れます。
これは、アレルギーの炎症によって気道粘膜の過敏性が高まっているために、気温の急変に過敏に反応してしまうからです。日中は咳をしなかったり、普段どおり元気があるのに、朝夕に咳がでまうっということになります。
中年以降になりますと、心臓疾患からくる咳か、アレルギーによる咳なのかを特徴から見分けることは困難になります。
ネコさんは、犬と違って、口をあけないので、明らかな咳をする場合は、人や犬と比べて呼吸状態がかなり悪化していると考えられます。
猫は呼吸が苦しくなると、咳をする以前にまず、呼吸数が多くなります。通常、猫は1分間に50回以上の呼吸数を超えることはありませんので、ご自宅で呼吸数を数えてみてください。(病院だと、緊張して呼吸数が増えます)
咳がひどくなりますと、コンコンとこもったような咳をして、そのあと嘔吐する場合があります。吐き気が主症状にみえてしまいます。
アレルギー性の炎症があるうえに、細菌やウイルスの感染がおこると合併症を引き起こし、症状をさらに悪化させることになります。
となると、呼吸困難をおこし、酸素室に入ったり、抗生物質の持続点滴が必要になったり、入院加療が必要となります。猫ちゃんが口をあけて、呼吸していたら、かなり状態が悪いです。
診断は
といっても、全身麻酔ですので、呼吸状態が悪い場合はできませんよね
麻酔薬は呼吸を抑制しますので、呼吸停止のリスクが高いです。あまり、一般的ではありません。
・鼻汁の細胞診断
アレルギーのときに増える好酸球という白血球をみる。ただし、細菌感染を合併していると、これ以外の好中球という白血球がおおくなるので、好酸球が少ないからと言って、アレルギーを否定できません
・レントゲン検査
・気管支洗浄検査
気管支内に洗浄液をいれ、それを回収してその中の細胞を検査する
これによって、気管支腔内の細胞をみることができます。
といっても、これも全身麻酔ですので、リスクがあります。洗浄液をいれるので、これが気管支内に残る可能性もあります。これも、あまり、一般的ではありません。
・アレルギー検査
アレルギーの原因となるアレルゲンを血液検査で調べます。(犬のみ)