ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

犬のレプトスピラ症

レプトスピラとは

  人獣共通感染症です。
 人も犬もかかる細菌感染(スピロヘータ
 家畜伝染病予防法の届出対象疾患

 血清群24もあり、血清型は250以上に分類されます。

 国内での流行レプトスピラ血清型は明らかではないとのこと。


感染経路

 多くの哺乳類の腎臓に定着・増殖し、尿とともに排出されます。

 ワンコにさわってうつるのではなくて、

 ワンコの尿に直接触るとヒトにうつる

 感染動物の尿に汚染された水や土壌に接触する

とことで、経皮的・経粘膜的に感染します。


維持宿主
  ネズミなどの野生動物、イヌ、ブタ、ウシ
 それぞれ、特定のレプトスピラ血清型を保有します。
 ネズミなどは、自分の血清型に感染しても無症状ですが、犬の場合は、自分の血清型でも、重篤な症状になります。

症状(犬)

・甚急性型
  ほとんど臨床症状を示すことなく急速に死亡

・急性型
  初期に発熱、戦慄、筋痛
  その後嘔吐、脱水、出血し
  やがて、発症後36時間から4日で死亡

・亜急性型(これが、最も多い)
  発熱、倦怠、食欲不振、嘔吐、脱水
  その後腎臓・肝臓不全になります、

健常犬の抗体調査では、感染しても症状がでない不顕性感染も多いといわれています。人では感染者の60-70%は不顕性感染との報告があるそうです。

動物衛生研究所発表の犬のレプトスピラ症報告数
   2007 42 
   2004 158
   2003 144

国立感染症研究所の研究によりますと、
2007年8月から2011年3月にかけて、10県で臨床的にレプトスピラ症と診断されたイヌの283頭を調べた結果の報告は

 83頭がレプトスピラ症という結果が、、
そのうち、
 91%の犬が8月から110月に発症(感染)
 約半数が9月の発症
 感染年齢は5か月から13歳
 オスが63%
 (感染症ですから、オスメス、年齢はあんまり、関係ないですよね)
 猟犬が38%  ペット62%
 
 死亡率53%
 黄疸78% 発熱13% 嘔吐71% 粘膜の出血41%

 分離同定された血清群は5

一番多い県は
宮崎県 43 
鹿児島県13
千葉県 7
三重県7

おそるべし、レプトスピラ感染!

予防は

 ワクチン予防
今あるのは、2価または3価ワクチンです。予防効果は100%ではありません。ほかの血清型の感染予防にはなりません。
ワクチン効果は接種後、1年は有効とされています。

 4価ワクチンがアメリカで流通しています、
 今度、レプトスピラ単独のワクチンがでますが、

  わたしは、新発売のワクチンの導入は1年待つことにしています。副作用のデータ蓄積をまって、結果報告を聞いて、考えます。

ペットから人への直接的な感染は、1例のみだそうです(ペットショップでアメリカモモンガから販売員への感染)
ペットの犬が人への感染原因と確定した報告はないそうです。

それでも、
感染ワンコからは、長期間、尿にレプトスピラが排泄されます。ワンコの症状が出ない不顕性感染でも、排出されますので、気を付けないといけません。

レプトスピラは、熱,乾燥、酸に弱く、エタノール、ヨード剤、逆性石鹸などで消毒できます。


犬の帽子屋さんが、アンデイくんをHPで紹介してくれました。
ありがとうございます
http://im-gallery.blogspot.jp/2013/06/blog-post_29.html



背中で感謝を示して、、