ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

慢性腎臓病の薬

シニア犬猫さんの主な死亡原因に慢性腎不全があります。
腎細胞が永久的なダメージをうけて破壊されますと、それを修復する機能はないといわれています(つまり、慢性腎不全は治らないってことです。)
腎不全は、2つある腎臓のひとつが100%だめになって、残りの腎臓も75%以上のダメージをうけていると、はじめて血液検査上に数値としてでてきます。(BUN,クレアチニン
腎不全になりますと、よく水を飲み、水のようなおしっこを大量にする(多飲多尿)、進行しますと、やがて、体重がへってきてやせてくる、寝てばかり、よく吐く、食欲がおちる、ほおがこけるような感じで衰弱していきます。

腎不全は、タンパク、脂質、エネルギー、リンなどの過剰摂取で進行します。
腎臓がこわれていて、おしっこにタンパクがでて、タンパクが失われてしまうのですが、タンパクを補給してあげる必要があるのですが、腎臓のダメージを少なくするためにタンパクを制限し、良質な蛋白源のみを食べないといけないのです。[タンパクを失っているのに、タンパク制限をしないといけないという、逆説的、痛し痒しってことですね)

そこで、でていくるのが、食事療法です。
窒素化合物、水素イオン、リン、無機イオンの蓄積を減少させ、代謝性アシドーシス(体が酸性になる)、インスリン耐性、タンパク尿症、腎機能の低下などの二次障害を回避できるような栄養素を考えているのが、療法食です。
ただ、腎不全が進むと食欲がおちてくるので、低たんぱく低脂肪のまずい療法食を食べてくれない猫さんが多いのが事実です。

そこで、飼い主さんのつとめは、
療法食を食べない猫ちゃんにお薬を飲ませるってことになります。、

小腸や大腸の中で生育する微生物(非病原性の腸内細菌)は、食物タンパクの消化やアミノ酸の血液中への吸収を助ける働きをしています。非病原性の土壌内細菌のウレアーゼ陽性のスポロサチーチ・パストウリ(Sp)菌は、腸管の中の尿毒症物質を分解する働きがあります。
この消化管内で有益な細菌を摂取することで、尿毒素を減少させることができます。その、魔法の薬は、そう、最近なにかと注目されている、プロバイオテイクスなのです!

このプロバイオテイクスが含まれている動物用サプリメントがたくさん販売されています。

腎臓にダイレクトにきく薬はないので、その症状に応じた対処療法しかありません(人間なら透析ですが、動物には、それは現実的ではないのです)

少しでも長く、そして元気に生きてもらいたいという願いをかなえるためには、お薬をあげるという努力をしないといけないでしょう。(動物は、治そうという気持ちがないので、飼い主ががんばるしかないのです)

腎臓が悪くなったら、

 まずは、療法食
 ACE阻害薬(腎臓の血管を広げます)
 最近、でているのが、トウモロコシのヒゲ茶のサプリ(利尿作用があるので、体の老廃物の排泄を促す)
 尿素窒素を吸着する活性炭(吐いたり、便秘の可能性あり)
 リン吸着剤
 副作用がまったくない、プロバイオテイクスのサプリ


豪徳寺の招き猫。初詣におすすめ!