ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

関節疾患の治療と管理

先日、日本獣医生命科学大学の外科の原田先生の関節疾患についてのセミナーにいってまいました。

セミナーでは、
① 関節疾患における「は行」の原因は疼痛である。

 つまり、びっこをひいて、足をかばうように、ピョコピョコ歩くときは、痛いってことです!
脊髄障害などで、運動失調(へんな歩き方をする、足の歩幅のアンバランスなど)の場合は、痛くなくて、神経に問題があるから、へんな歩き方をする、
しかし、関節炎は、痛くて歩けない、という違いがあるということです。

関節炎でびっこをひく→ 痛い
神経の障害でへんな歩き方をする→痛くない

②痛いというサインは、

 足を上にあげて、つかない。
 足に体重をかけないので、筋肉がおちている
 痛くて鳴く(かなり重度、腫瘍の可能性もあり。靭帯が切れたときは痛くてなくが、そのあと鳴き続けることはない)
 だっこさせない
 痛いところをさわると、かみつく
 性格が攻撃的になった

③明らかな骨格異常や運動障害が認められる場合は、早期の外科的対応が望ましい。

たとえば、膝のお皿がはずれる、膝蓋骨脱臼や、股関節脱臼(いずれも後ろ足)[変形性骨関節症が進行するから)
肩関節がはずれる
肩や肘の骨関節症
小型犬のレッグペルテス(トイプードルに多い、股関節の変形)

④股関節は、切除可能な唯一の関節である。

膝や肘、肩の関節の場合は、関節を固定するという手術しかなく、痛いところを温存するしかない。
後ろ足の付け根の股関節の場合は、骨頭切除や人工関節という選択肢があるので、外科的治療が奏功しやすい。

⑤明らかな骨格の異常をともなわない場合、
消炎鎮痛剤、関節軟骨保護剤(カルトロフェンベット)、関節用療法食(EPA配合)などを使用し、関節周囲の炎症緩和及び運動機能の改善に努める

外科的治療という手段がない場合、あるいはそれほど重症でない場合は内科的治療やサプリで対応していくということです。


午前中だけ調子が悪いというワンコは、
免疫介在性の関節炎という可能性もあります。
これは、CRPなどの血液検査で鑑別することができます。


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