ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

クリプトコッカス症

トリに糞に多くみられる、酵母様菌による感染症で、人畜共通の伝染病です。
感染すると、人には脳脊髄炎、犬猫さんの気管支炎や肺炎の原因になります。


感染経路
 ハトなどのトリの糞の堆積物や樹皮に生息する菌です。
それらからの塵が、鼻や口から、あるいは傷口から(経気道、経皮)感染し、呼吸器、皮膚、神経系が侵されます。
健康な犬猫さんの鼻に少量いる常在菌のようですが、ステロイドの長期投与、抗がん剤免疫抑制剤などが投与されていると発症しやすいです(日和見感染症)。

症状
 鼻炎、くしゃみ、下顎リンパ節がはれる、皮膚に結節、潰瘍、感染がひどくなると気管支炎や肺炎も引き起こします。
神経症状(沈鬱、発作、運動失調、後ろ足の麻痺など)
目がおかしくなる(瞳孔が開いたまま、網膜炎)

診断
 病変部位の膿汁、淡などの分離培養検査
 抗原検査
 病理検査

治療
 抗真菌剤(アムホテリシンB)の注射(内服は消化管から吸収されないので、ききにくい)
 ケトコナゾール、フルコナゾールなどの抗真菌剤の投与
 副作用に注意
 再発しやすい、神経症状がでている場合は予後は悪い

お外でハトをつかまえて食べた、ハトのフンに接触しているような猫ちゃんで、エイズ陽性などの免疫力が弱い子で、鼻水グシュグシュ、くしゃみが続くようでしたら、気をつけたほうがよいでしょうね。