ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

エチレングリコール中毒

先日、千葉県の公園で、毒入りソーセージ事件がありましたね。かわいそうに、ノラ猫さんを狙った犯行ではないかと思いますが、本当に、ひどい事件です。幸い、食べた犬は助かったようです。

事件詳細(ネットから)
千葉・栄町の公園に毒入りソーセージ
 犬や猫が連続被害
2012.11.12 11:01
 千葉県栄町安食台の十王児童公園で10月、毒入りソーセージを食べた犬が動物病院に運ばれていたことが12日、同町への取材で分かった。付近では9〜10月の計2日間に野良猫計5匹が死体で発見されており、同町は「特に小さな子供が不審な物を見つけても決して触れず、通報してほしい」としている。

 同町によると、10月15日に散歩中の飼い犬が公園内に落ちていたソーセージを食べ、体調不良を起こした。飼い主が動物病院に運び、数日間入院したという。ソーセージには青い液体が付着。保冷剤などに使われる有毒性のエチレングリコールの可能性が高いという。

 公園付近では9月20日に計3匹、犬が毒入りソーセージを食べた前日の10月14日に計2匹の野良猫の死体が発見された。同町は猫が毒入りソーセージを食べて死んだ可能性もあるとみており、通報を受けた県警成田署は巡回を強化している。



エチレングリコール中毒とは

 エチレングリコールは、溶剤、潤滑油、界面活性剤、代用グリセリン有機合成、化学繊維の原料などに使われます。
車のラジエーターの交換廃液に含まれています。特に保冷剤やアイスノンには注意してください。
サカナのにおいがして、甘い味がするので、食べてしまう可能性が高いです。北極圏でシロクマが道路の不凍液を食べて、骨までピンクに染まって死んでいるのが発見される事件が1988年4月に起きました。

中毒は
中枢神経に毒作用があります。
人間では、
 摂取30分から12時間
  吐き気、嘔吐、運動失調、嗜眠、白血球増多
  
 摂取12-24時間
  頻呼吸、チアノーゼ、肺水腫、心不全
   この第2期で死亡するケースが多い。
 摂取24-72時間
  腎障害進行、タンパク尿、血尿、乏尿、BUNの上昇
  尿中にシュウ酸カルシウム結晶がでる(シュウ酸カルシウムは脳、心筋、膵臓に沈着する)
 致死量は、オトナで100ml

つまり、急性腎不全をおこし、低タンパク血症になり、高リンとなり、低カルシウムになります。神経症状がでて、けいれんがおき、最後は尿毒症で死亡するということです。
摂取して、人間は24時間以内亡くなる可能性が高いということです。犬猫さんも同様に、危険ですよね、、

治療は静脈からの輸液点滴で、腎臓を守る。
摂取直後は、吐かせる。
エタノールの静脈点滴(オーストラリアでエタノールが足りなくてウオッカを点滴したという記事がありました)

戦後、間もないときに、砂糖が不足したときに、甘味料としてエチレングリコールが悪用され、甘い酒、白蜜を飲んで死亡者が続出した事件がありましたね。
中国が粉ミルクやキャット・ドックフードにメラミンをいれて、乳幼児や犬猫に腎不全をおこした事件は記憶に新しいと思います。
戦後、お酒が足りなくて、メタノールを飲んだ人が失明したり、中毒死した事件もあります。

口にするものは気を付けねば
だれが作ってだれが販売しているものか、気をつけねば、
犬のお散歩中の拾い食いは、本当にキケンであることを、つくづく思い知らされる事件ですね。