ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

犬の前立腺の病気

1)前立腺肥大
 去勢していないシニアワンコによくみられます。
 ヒトと違って、尿道のほうに大きくならないので、排尿障害があまりみられません。
 治療は、去勢手術か内服(7日間)

2)前立腺嚢胞
 前立腺の肥大に伴って、前立腺の中の炎症がおこる場合があります。血色の前立腺分泌液を、おしっこするところから、血尿のようにポタポタでるようになります。
治療は、前立腺肥大の治療と同様に、抗アンドロジェン製剤の投与です。きわめて大きい場合は、前立腺嚢胞に針をさして、貯留液を抜く処置になります。

3)細菌性前立腺炎
尿道からの細菌の上行感染によっておこり、おもに大腸菌の感染です。膀胱炎を併発している例が多いです。
症状は、前立腺が痛いので、背湾姿勢をし、歩くのを嫌がり、排尿動作も異常になります。
治療は抗生物質の投与ですが、前立腺の間質の小さな血管から抗生剤がにじみでても、腺上皮細胞層のバリアー機能のため前立腺の腺腔に薬剤が到達しにくいといわれています。
このため、治療は長期間を要します。

4)前立腺膿瘍
細菌感染による前立腺炎が悪化すると、化膿して膿がたまります。前立腺が痛いため、発熱、元気食欲がおち、排尿排便がうまくいかなくなります。抗菌剤の投与だけでは、完治しません。外科的に膿瘍の摘出が必要となります。
(かなり、オオゴトです)

5)前立腺の腫瘍
人よりは腫瘍の発生率は低いといわれています。
ほとんどは悪性の腺癌です。去勢手術をうけていても、シニアになって発生することがあります。肺、肝臓、膀胱、骨盤骨、腰椎、大腿骨などに転移します。
転移しますと、骨を破壊し激しい疼痛のため歩けなくなります。前立腺の腫大により排便排尿も困難になります。
治療は、前立腺摘出手術と放射線治療抗がん剤投与です。アンドロジェン依存性の前立腺癌もあります。


病気のことを考えると、やっぱり、去勢しておいたほうがよさそうですね)
精巣腫瘍、会陰ヘルニアや肛門周囲腺腫の予防のためにも去勢しておいたほうがいいと思います。


アンデイくんは、もちろん、去勢しました。


(女らしい??めざせ、はるな愛