輸血
動物には、人間の赤十字のように血液ストックをしているところがありません(血漿輸血のストックをしている大きな病院はありますが、一般病院では難しいです)。
このため、いざ、輸血が必要になると、別の犬猫さんから緊急に調達しないといけないのが、動物医療の難しいところです。しかも、当然ですが、血液型があっていないと輸血ができません。
①犬の血液型
13種類もの赤血球抗原(DEAと呼びます)があり、このDEAはさらに細かく分類されています。
輸血するときに大事なのが、DEA1.1という抗原です。DEA1.1は抗原性が強いので、輸血の時に赤血球が壊れるなどの副反応を起こすからです。生まれつきDEA1.1をもっている犬と、もっていない犬がいるので、DEA1.1+(陽性)またはDEA1.1(-)陰性と表します。DEA1.1+の犬のほうが多いようです。
②猫の血液型
A,B,AB型の3種類でO型はありません。
猫は犬と異なり、血液型の異なる血液を輸血すると、初回から赤血球が壊れるなど重篤な副反応がでてしまいます。日本猫の93%以上がA型で、次に多いのはB型です。アメショーは、100%A型です。
③輸血に伴う副反応とは
輸血によって非自己由来のタンパクが体にはいってくると、体に適合しないタンパク質に対して、自分の免疫系が過剰な反応を示し、様々な症状を急激に起こすことがあります。
症状は、血尿、発熱、頻呼吸、不整脈、虚脱、ショック、急性腎不全、などなど
(急性の免疫反応)
・高カリウム血症
・アレルギー反応(アナフィラキシーショック)
・発熱
・急性肺障害
・DIC
(遅延性免疫反応)
・溶血(輸血後4-14日後)
・紫斑(皮下出血)(輸血後7-14日後)
(免疫反応でないもの)
・クエン酸中毒(クエン酸は、輸血するときに、血液が固まらないようにするために、血液の中にいれます)
低カルシウム、低マグネシウム血症
・低体温
・細菌感染