ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

犬の消化管に発生する腫瘍

①リンパ腫
  犬の消化管に発生する腫瘍の中で最も多いです。
  小腸、肝臓、脾臓、腸管膜リンパ節での発生が一般的です。
80%がT細胞型で、低分化型リンパ腫は抗がん剤治療がききにくく、平均生存期間は22日といわれています。
ひとつだけのものでしたら(孤立性)外科的に切除して抗がん剤を併用することで延命が期待できる可能性もありますが、あちこっちにできている(多発性)場合は完全切除が困難ですので、残存した病変部が穿孔し腹膜炎をおこす可能性があり、予後が悪いです。

消化管型リンパ腫は、他の型と比較すると、発見が難しく、診断が遅れることが多いといわれています。症状は、沈鬱、嘔吐、食欲不振、下痢などですが、半数以上は、大幅に体重が減少します。診断はレントゲン検査(肝臓腫大、脾臓腫大)とエコー検査ですが、確定診断は、針をさすFNA(細胞診)やバイオプシーですが、おなかの中を探って針をさすので、出血に注意しないといけないことと、腸壁深部の病変では、難しいです。内視鏡でのバイオプシーは、胃と十二指腸、下は横行結腸までが限度で、粘膜面だけしか採取できません。最終的には、試験開腹による検査も考えられます。

②腺癌
 大腸での発生が一般的(ダックス注意!)
 小腸では空腸の発生が多いです。
 転移率は44%以上でリンパ節や腸管膜、大網、肺へ転移します。

③平滑筋腫、平滑筋肉腫
 犬の消化管に発生する腫瘍の中で2番目に多いです。とくに、空腸、盲腸での発生が多いです。
症状は、貧血、低血糖がみられたりします。
平滑筋肉腫の転移率は16-50%、内臓(肝臓、リンパ節、脾臓、腸管膜)に転移しやすいです。

④消化管間質腫瘍(GIST)
 大腸での発生が一般的です。
 転移率は29%、内臓(肝臓、リンパ節)への転移が一般的です。