ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

腎不全

猫さんは、腎臓が小さいので、年をとると慢性の腎不全になりやすいといわれています。人間ですと、週3回の血液透析をして、元気に長生きできるようですが、動物の場合は血液透析というのは一般的ではありません。腹膜透析を行っている病院もあります。また、動物用の血液透析機械がつくられていますが、この機械は高価ですし、かなり、特殊な病院でないと導入されていません。それは、血液透析する場合、人間と違って、毎回全身麻酔をかけないといけないので、しかも、慢性腎不全の最終段階の尿毒症になって、はじめて来院されるケースが多いので、麻酔のリスクが高いからです。
で、腎不全になったら、治療は、静脈点滴をして、残った腎臓の力を振り絞って、尿から体の老廃物を出してもらうということです。尿がでなくなる、慢性腎不全の末期の場合は、この治療は有効ではありません。腎臓への血流量を増やし、老廃物を尿と一緒にだしてもらう治療なので、腎臓の機能が少しでも残っている場合のみ、一時的な回復が望めます。
吐き気がおさまり、食欲がでたら、退院してもらい、腎性の貧血をエリスロポエチンというホルモン注射で改善しつつ、腎臓に負担のない食事(低リン、良質なタンパク)を食べて、残った腎臓の機能を維持しつつ、暮らしてもらいます。腎臓によい漢方薬もありますが、苦いので、なかなか投薬は、特に猫さんには、難しいでしょう。。。
猫さんがやたらと水を飲んで、うすい色のオシッコをするようになったら、腎臓が悪くなっている可能性があります。やたらと吐く、口臭が強くなる、痩せてくる、多飲多尿が慢性腎不全の徴候です。
この猫さんは、静脈点滴をして、脱水と電解質を補正、吐き気どめの注射をしたら、食欲がでたようで、元気になりました