ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

犬パルボウイルス感染症

ワンコさんに、特に子犬に多いパルボウイルスという感染症があります。ワクチンで予防できますが、このウイルスは消毒に強いので、なかなかやっかいです。このウイルスに汚染されたブリーダーの犬舎では、根絶が困難だといわれています。
感染力が非常に強く、死亡率も高い怖いウイルスです。
症状は、元気食欲がなくなり、発熱します。やがて、激しい嘔吐と下痢、脱水を起こします。進行しますと、トマトジュース様の血便となります。潜伏期間は5-12日です。

1)感染経路

 パルボウイルスに感染した犬の糞便から排泄され、口や鼻から感染します。
感染したワンコさんから、3−4日で糞便中に排泄され、7−10日で排泄が終わります。ですが、感染したワンコさんの使った衣服、食器やケージについたウイルスは数カ月間感染性を保っています。

2)パルボウイルスとは

20nmの小さなウイルスですが、中心のDNAを周りのカプシドがしっかりと守っている形をしているので、アルコールなどの消毒薬に対する抵抗力がたいへん強いです。このウイルスは一般環境下で数カ月間生存が可能といわれています。
次亜塩素酸ナトリウムやホルマリンで殺菌できます。

3)8週齢以下の子犬の場合の症状
子犬の場合は心筋炎を起こします。
感染しますと、3−8週齢の子犬の場合、心筋炎を起こし、3か月齢以内で心不整脈による突然死を起こします。
2週齢以下ですと、全身感染し、急死します。

4)8週齢以上の犬の場合の症状
口や鼻から感染し、感染1−2日でウイルス血症となります。小腸の細胞に感染し(感染3−4日)腸炎と下痢を起こします。
激しい下痢で、トマトジュース様の血便となります。
ここで、迅速かつ適切な治療を行って助かる場合もありますが、治療をしない場合は、激しい下痢で脱水して、二次感染を起こし、白血球が減少し(感染3-4日後)DICとなり、死亡します。

5)検査方法
簡易検査キットがありますので、糞便を用いて検査することができます。
パルボウイスルのワクチンを打ってから2週間は、糞便中にワクチンウイルスが排泄されることがあるため、ワクチン接種2週間以内のワンコさんで、検査が陽性とでた場合は、ワクチンウイルスか本当のパルボウイルス(野外株)を区別するため、PCR法や検査センターで精密検査をする必要があります。