ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

発情後(黄体期)の高血糖

犬の糖尿病には、3つのパターンがあります。
・若齢性の糖尿病(インスリンがでない)
・、避妊していない女の子の糖尿病
 (3歳から発症)
 6歳以下の糖尿病は、たいて、避妊していないメスが多い)、
・クッシング、膵炎などの病気から起きる糖尿病です(5歳から発症)

発情の後は、黄体ホルモンの時期になり、そのときに、黄体ホルモンによる高血糖の糖尿病になることがあります。これは、乳腺から成長ホルモンがたくさんでて、これが、インスリン抵抗性の原因になるからです。このようなワンコさんの場合、早く避妊すると、インスリンの投与が必要なくなるのが、27.7%、インスリンの減量に成功するのが、36.4%の症例報告があります。
先日、避妊してないワンコさんで、多飲多尿を心配されて、来院された方がいらっしゃいました。血液検査をしますと、血糖値が200で、尿に糖もでていました。乳腺もはっていたので、避妊手術をおすすめしたところ、その方は、ほかの動物病院にセカンドオピニオンを聞きに行かれ、その結果、様子をみたいとの結論になったとのことでした。
糖尿病専門の高名なN大学のS教授に、このケースを質問したところ、「このまま、避妊しないで、あと2,3回、黄体期高血糖をくりかえすと、どんどん糖尿病が進行して、膵臓がだめになってしまう。できるだけ、早くに避妊手術をするべきだ」との回答でした。
本当にそういうコメントをしたのかどうかわかりませんが、他の動物病院での「様子を見なさい」という回答(糖尿病の様子をみるっていうのが、意味がわかりませんが、、、)が残念でたまりません。糖尿病が進行しますと、ケトアシドーシスで昏睡状態、脳梗塞白内障などさまざまな病気をおこすのです。早期発見で、糖尿病にならないですむかもしれなかったケースなのに、十分、リスクを御説明したはずなのに、とても、残念です。。。