ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

食物アレルギー

ワンちゃんにも食物アレルギーがあります(ネコさんは少ないです)

アレルギー反応には、主に、即時型の1型アレルギーと遅延型のⅣ型アレルギーがあります。
1型は、IgEしていて、15-30分で発症します。大きな分子の抗原に反応するアレルギーで、肥満細胞という免疫細胞からヒスタミンというかゆみをおこす成分が放出されます。
Ⅳ型アレルギーは、6-48時間で発症する遅延型アレルギーで、小さな分子の抗原にも反応します。
リンパ球が関与しています。

1)アトピー性皮膚炎
健常犬では、1型アレルギーの原因となる、IgEはみられることはないといわれています。IgEがみられること自体が遺伝的に異常であるといわれています。おうちのワンコさんの皮膚炎が続くようでしたら、アトピー体質かどうか、IgEを調べることによって、わかります。そして、IgEがあり、環境などのアレルゲンに反応している1型アレルギーのよる皮膚炎がある場合は、犬アトピー性皮膚炎と考えれます。
血液検査で、IgEの量と、どういう環境アレルゲンにアレルギーをもっているのか、具体的な原因を探ることができます

2)食物アレルギー
次に、食物アレルギーですが、

症状は、
・食物中の抗原に対するアレルギーで、皮膚症状、消化器症状がでます。

・1歳未満から発症しているアレルギーの60%は食物アレルギーといわれています。
環境アレルギーは、抗原が大きいのに対し、食物アレゲンは、抗原が小さく、毎日暴露(毎日食べるから)するので、早期にアレルギー反応がでやすいからです。

・そして、1日の糞便回数が3回以上と多くなるようでしたら、食物アレルギーを疑います(子犬は3回くらいしますので、これは正常です)

・季節に関係がなく痒がります。

・顔(特に口、眼の周囲)、肛門周囲、背中、指の間が赤く痒くなります。

このような症状がでるようでしたら、食物アレルギーの検査をしたほうがよいでしょう。

食物アレルギーは、Ⅳ型アレルギー優位のタイプが70%といわれています。Ⅰ型アレルギーも関与している場合もありますので、血液検査では、リンパ球の反応検査とIgEの両方で原因となる食物アレルゲンを検査することをおすすめします。

3)食物アレルギーの治療
 当たり前のことですが、原因となる食物アレルゲンを与えるのをやめることです。

最近、より進化した、食物アレルギーのための処方食が発売されました。
これは、今までの食物アレルギー用の食事に比べて、さらに加水分解して、低分子のアミノ酸ポリペプチド)とコーンスターチ(デンプンを精製したもので、タンパク質を含まない。これが、例の石鹸「茶のしずく」とは違うところ)を使用しています。
この製品のコンセプトに感動したのは、今後の食糧難を考えて、動物は人間と同じように牛や豚を食べるよりは、限られた食料を有効に活用するという視点で、医療用アミノ酸でも使われている「フェザーミール」を用いているということです。そして、アミノ酸にまで分解しているので、たいへん消化がよいという点です。製造過程のコンタミ(細菌汚染)がないように、製品管理が必要であることなどから、ほかのフードよりは割高になっている点が難点です。
食物アレルギーを疑った場合は、このフードを最低2カ月間(このフードのみを与えてください、おやつをあげると、効果がなくなります)続けて、皮膚炎が改善されるかどうかをみます。まったく改善されない場合は、他の原因を探らなければいけません。
症状が改善された場合、このお食事を8-12カ月続けると、免疫記憶細胞がリセットして、食物アレルギーから脱却できる可能性もあります。(そのあとは、もう少し、安価なアレルギー用のお食事にきりかえる)

余談ですが、石鹸の「茶のしずく」は、小麦粉のなかのタンパク質がアレルギーの原因になってしまったとのこと。石鹸のせいで、ラーメンが食べれなくなる人生はつらいですよね。やはり、食べ物、体につけるものは、気をつけないといけないですね。。

PS
今ですと、この食事のサンプルがご用意できないので、1キロの製品を購入していただき、食べなかったら御返品可能ですので、食物アレルギーかもというようなワンコさんは、試されてもいいかもしれませんね。