ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

出血がとまらない原因

ケガをして出血しても、身体の中の血液を凝固させる凝固システムや血小板の力で、通常はガーゼで押さえるなどすれば、出血はとまります。なかには、なかなか出血がとまらない場合があります。
出血がとまらない原因には、血小板の数がたりない、血小板がきちんと機能していない、止血する凝固系の異常、血管炎、腫瘍、感染症、薬物毒物などが原因と考えれます。

①血小板が足りない
血小板の消費が激しく、骨髄で血小板をつくるのが間に合わなくなる、ショックや悪性腫瘍のときにおこるDIC(播種性血管内凝固)、血管炎など、免疫介在性の血小板減少(自分で自分の組織をこわす)

②血小板の異常
  血小板があるのに、ちゃんと働いてくれないという血小板の機能異常(血小板無力症、血小板障害など)

③腎不全、肝不全、多血症などで、血小板がきちんと機能しない。

③ビタミンKが不足している。(肝臓が悪い、脂質の吸収不全)

④殺鼠剤を飲んでしまった、毒物摂取

⑤遺伝性の凝固系の因子の欠損
ドーベルマンのフォン・ヴィレブランド病(染色体劣勢遺伝)血小板機能に不可欠な因子の欠乏など

⑥局所の損傷
  壊死性腫瘍、外傷、潰瘍化した組織のため、だらだら出血が続く

⑦肝臓が悪くなり、凝固因子をつくれなくなる
感染症(リッケチア)
血友病(シェバード、スコテイッシュ、テリア)
⑩シニアのワンコの腫瘍
⑪薬剤(アスピリン、フェニルブタゾン、スルホンアミド)

症状
 歯肉からの出血
 消化管からの出血(メレナ、血便)
 喀血
 鼻出血
 おなかで出血すると、おなかがふくれたりします
 血胸(呼吸困難をおこす)
 関節が腫れる
 衰弱(貧血になるので)
 血尿
 

出血が一部分に限局し、点状出血や、斑状出血、粘膜出血(鼻血、メレナ)の場合は、血小板の疾患を疑います。

 
検査は、腎臓肝臓に問題ないか、肝臓疾患で低タンパクになっていないか、慢性炎症や腫瘍による高グロブリン血症になっているか、などの、血液検査と尿検査、血液の止血機能の検査(アンチトロンビンⅢ、活性化凝固時間、フィブリノーゲンなどなど)、免疫の検査(坑核抗体、抗血小板抗体、など)、感染症の有無(リッケチア、エールリヒア症)、クームズテスト、フィラリア抗体検査など、を行います。