ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

避妊手術のメリット

ネコちゃんたちは、みな避妊去勢をするのが主流になっていますが、犬の場合はまだ、100%とはいかないようです。避妊の最大のメリットは、老齢になって免疫力が落ちて罹患する子宮蓄膿症が予防できることです。3月の震災の精神的ショックからか、子宮蓄膿症で緊急手術が連日続いたことがありました。3月と12月に子宮蓄膿症が多い印象があります。おもに大腸菌が原因とされる膿が子宮にたまる病気ですが、膿がたまって、子宮が破裂して、あっという間に敗血症になって死亡する危険な病気です。避妊去勢をすると太りやすいというデメリットがありますが、早期に避妊手術をすると、乳腺腫瘍の発生を抑制する効果があるといわれています。犬は、50%悪性腫瘍といわれています。乳腺を全部とるのは、かなり負担の大きな手術になります。傷口が大きいと皮膚をよせるのがたいへんになりますし、取り残せば再発します。そして、リンパ節や肺に転移しますので、ワンちゃんが長生きするためにも、若いときに(できれば、2歳半までに)避妊手術をすることが、ワンちゃんのためになります。
「おなかをあけるのがかわいそう」っで避妊手術を決断できない方が多いですが、当院では動物の痛みをできるだけ少なくするよう疼痛管理を行っています。術前、術後の痛みどめの注射を二種類投与します。そして、おなかの中に糸を残すことと出血を最小限にするために、超音波手術装置ソノサージを導入しました。これは電気メスよりも温度が低いので、負担が少なく、安全だといわれています。また、使用する糸は、PDSというアレルギー反応の少ない吸収糸を採用しています。術中は、血圧が下がらないよう、安全に手術を行うため留置針をいれて静脈点滴を必ず行います。獣医師2名で手術しておりますので、万が一、わたしが術中に脳梗塞で倒れても、大丈夫です。